「塩麹ってなんだか難しそう、どんな風に使えば良いのかわからない…」
上記は、お客さんからよく聞く悩みの一つなんです。でも塩麹って実は簡単に使える調味料なので、紹介させてください。
今回は北海道札幌市の繁華街、すすきのにある居酒屋「味和久」で10年以上塩麹に向き合い続けた店主にスタッフがインタビュー。ここでしか見られない生の情報をお届けします。
記事を読み終わる頃には、自宅でプロと同じレベルで塩麹が活用できるようになっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
ー塩麹とは?
昔から使われている「味噌、醤油」などと一緒に出てきた調味料の一つで、無添加調味料です。
原材料は「米麹、塩、水」で、米麹によって味の差が出やすいですね。
直接塩を使うよりも、塩分濃度が低く旨みが強いので、醤油と塩の良いとこ取りのような調味料ですね。
ー塩麹の使い方を教えてください。
使い方はそれぞれですね。調味料として塩や醤油のように使ったり、ドレッシングの変わりであったり、煮物の隠し味に、スープに使う時など色んな場面で使えます。
塩麹って素材の味を引き出す手助けをしてくれるので、どんな料理にも使える可能性があるんですよね。
味和久だと漬け込んで使うことが多いです。漬け込むのが一番「塩麹感」が出るんですよ。酵素の分解によって食材が柔らかくなります。意外と簡単で、ポリ袋に入れて揉み込んで寝かせるだけなんです。
野菜炒めなどで「なんか味が決まらないな…」という時に、塩麹をスプーン一杯だけ入れてやると味が締まるんですよ。ほんと万能調味料です。
ー塩麹はどんな料理と相性がいいですか?
ちょっと変化球ですけど、実はポトフとの相性良いんですよ、意外でしょ?
ポトフってコンソメ使うんですけど、コンソメをちょっと減らしてやって、代わりに塩麹を入れてやると旨味と甘味が増して、味の奥行きが出るんですよ。
その他にはトマトスープとか、もちろん味噌汁にも使えるので、スープ全般に使えますね。フレンチ、イタリアン、和食と何にでも使える調味料です、改めて凄いなと思います(笑)
ポイントとしては、最後の仕上げに塩麹を使うことですね。最初から使うと塩麹の味が前面に出てしまって、味が崩れちゃいます。
ー塩麹の賞味期限はどれくらいでしょうか?
冷蔵庫で半年くらい持ちますね。発酵しているのでどんどん麹が液化してきますが、味には問題なくてむしろ滑らかになるんです。
ただ、塩麹はもちろん、例えば醤油や味噌なども旨味のピークは3ヶ月くらいまでなので、3ヶ月を目処に使い切るのがおすすめ。これは僕がお店で作った経験からですね。
余談ですが、「発酵学」っていうマニアックなジャンルもあるんです。僕も日々研究してて、漬け時間、干し時間を計算しながらやってて、お客さんに出す時には旨味のピークの時に出せるようにしてます。
発酵をし過ぎると酸化して、さらに腐敗へと進むので旨味が抜けて味が落ちちゃうんです。だから、塩麹は3ヶ月がギリギリのラインですね。
ー美味しい塩麹ってどんな味ですか?
難しいなぁ(笑)逆に美味しくない塩麹の話からしましょうか。
美味しくない塩麹は、「しょっぱいだけ」のものが多いです。既製品はどうしても保存料などが入るので、味が落ちちゃうんですよ。
美味しい塩麹はしょっぱくなくて、甘味があるんです。甘酒のような風味って言えば良いのかな、滑らかな味なんですよ。
美味しい塩麹を作るには、「元気な米麹」を選ぶのがポイントです。味和久でも使ってる八雲町の服部醸造のはかなり良いですね…業務用なんで一般販売されてないのが惜しいくらいです。
ー味和久の自家製塩麹の魅力は?
一番は万能に使えて、味の決め手になることですね。塩麹を最後に使うだけでワンランク上の味わいになって、深みが出るのが魅力でしょうか。
作ってて「なんか味決まんないんだよなぁ…」という時は、大体塩麹で解決してます(笑)
味和久の塩麹の作り方はブログで公開してるので、お家で作ってみたい方はぜひ参考にしてください。
ー塩麹の定番メニューはいつくらいに決まったんですか?
10年くらい前、店の初期段階で決まってましたね。初めはメニューに無くて、お客さんに食べてもらったら「これ良いね、美味しいよ」と言っていただいて、そこからメニュー入りしました。
あとはオリジナルで出している温泉豆腐ですね。元々は大分の郷土料理だったんですが、それに北海道の米麹を使ってアレンジを加えることで、独自の味わいになってます。
ー料理人として塩麹料理の今後の可能性は?
今までは漬けたものを冷凍して、使う時に解凍、そして調理をしてたんです。ただ、それだと時間がかかるのが問題で…
そこで、ドライエイジング(乾燥熟成)をかけて、冷蔵保存で使えないかっていうのを試している最中です。今は鯖(サバ)と手羽先を塩麹と組み合わせる開発をしています。
できればドライエイジングをかけて四季折々の料理を出せるようになりたいですね。美味しいのできたら出すので、お客さんにも食べて欲しいです。
ー居酒屋料理人ならでは!塩麹料理と合う日本酒は?
元も子も無いこと言えば、塩麹と日本酒は米と米だから根本的に何でも合うんです(笑)
でも、中には悪い組み合わせがあります。素材の味を消してしまう日本酒もあるんです。
塩麹は基本的に旨味の手助けで、素材の味を引き出す役割なんです。だから、塩麹で合わせるんじゃなく、サバとか手羽先とか、その素材に合うかどうかで選べば美味しく食べ飲みできます。
お店に来て聞いていただければ、料理に合うお酒を紹介しますのでお気軽にスタッフに質問いただけると嬉しいです。でも、せっかくなのでざっくりとだけ紹介しておきましょうか。
ー味和久のメニューと合うお酒
比内地鶏 | すっきり or ふっくら |
---|---|
温泉豆腐 | ふっくら |
ポテサラ | 力強い |
手羽先 | 華やか |
日本酒も味わいでこのように分かれていて、それぞれに合う料理があります。表の通り、味和久の一押しメニューである温泉豆腐は、ふっくらな味わいの「三千櫻」(三千櫻酒造 東川町)と合わせるとお互いの味がとても良く絡み合って至極のペアリングです。
全国各地の蔵元から何種類ものマニアックな日本酒を用意しているので、日本酒好きの人はぜひ飲み比べてみてください!
味和久の塩麹の作り方は以下の記事で解説しています。家で作りたい方は一度見てください。
ーさいごに
今回はすすきのにある居酒屋「味和久」の店主、渋谷さんに塩麹についてお聞きしました。
- 塩麹は無添加の万能調味料
- 味を締める最後の一押しとして使える
- 煮物やスープとの相性も◎
- 賞味期限は3ヶ月/li>
すすきの居酒屋「味和久」では、日本酒や塩麹に関する情報を多く紹介しています。皆が気になる所から、マニアックな所まで様々な記事を公開しているので、ぜひ一度見てみてください!